備蓄水の必要性

お水の備蓄ガイド

リアルな声で振り返る
震災後困ったこと

1995年1月に発生した阪神・淡路大震災から30年が経過する中で、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震、そして2024年の能登半島地震と全国で大規模な地震が起きています。

異常気象の影響から各地で豪雨災害も頻発しています。
自然災害はいつどこで起きるかわかりません。ある日突然、当たり前の暮らしが断ち切られ、大きな災害になればなるほど救援や支援に時間がかかります。

万一の際に家族の命や暮らしを守るには日頃からの準備が大切です。

水や食料の備蓄は十分ですか?甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災の経験を振り返り、今できる備えについて考えてみましょう。

困ったこと 1
生活用水の確保 1日1人当たり10〜20ℓが必要

国土交通省近畿地方整備局が震災の教訓を生かすために2002年にまとめた「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ」では、「水に困らない避難生活のために」というテーマで一つの章が構成され、ライフラインの断絶によって震災後の避難生活で一番困ったのが水の確保であることを紹介しています。

82.5%の人が「困った」

例えば、阪神・淡路大震災翌年の1996年に行われた西宮市民意識調査では「震災後どんなことで困りましたか?」という質問に「生活用水(トイレ、洗面、掃除など)の確保」を挙げた人が最も多く、82.5%の人が「困った」と回答しています。

別のアンケートでも「避難所のトイレの清掃ができなかったのが苦しかった」「日に数回の水運びが大変だった」など、水の不足に苦労した避難生活の様子が明らかになっています。
生活用水の確保について (トイレ、洗面、掃除など) 困ったと回答した人の割合

想像以上に必要な「水」

手や顔を洗ったり、掃除をしたり、お風呂に入ったり、洗濯や食器洗いに使ったり、そして何よりもトイレを流すためには生活用水が不可欠です。

飲料水の備蓄とは違って推奨量は定められていないものの、総務省消防庁は1日につき1人当たり10〜20ℓの生活用水が必要という目安を示しています。

お風呂の残り湯をためておく、空いたペットボトルに水道水を詰めておくといった方法で生活用水を常時確保しておくことが重要です。
1人当たり必要な生活用水10~20ℓ

飲料水の配給も制限が

阪神・淡路大震災では、神戸市内の水道は震災直後にほぼ全域で断水しました。

復旧作業は全国からの応援を得て急ピッチで進んだものの、全域での水道復旧には約3カ月かかりました。給水車による水の配給もありましたが、飲料用など最低限に限られました。

川の水で洗濯や洗顔をする人もおり、改めて生活用水の重要性に気付かされる契機になりました。
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困ったこと 2
電話がつながらない 連絡手段や情報収集法の確認を

同じく西宮市民意識調査で、困ったこと第2位だったのが「電話がつながらない」でした。こちらも81.4%の人が「困った」と回答しています。

当時は今のように携帯電話が普及していなかったため固定電話や公衆電話に頼るしかなく、不安は一層強かったと思われます。

平時にチェック
インターネットの活用を

現在は、インターネットや携帯電話を利用して家族や友人の安否を確認したり、災害情報を収集したりすることができるようになりました。

大きな災害が発生すると被災地への電話が殺到して回線が混雑し、つながりにくくなります。災害の状況確認や安否確認、避難場所の連絡などにどういう手段があるのか、平時に確認しておくといざという時に慌てずにすみます。
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安否確認に

災害用伝言サービス

電話で(171)

メッセージ音声を録音。
音声は全国から再生できます

災害用伝言ダイヤル
インターネットで

メッセージを文字で登録。
全国からインターネットで確認できます。

災害用伝言板
インターネットで

ウェブ上で伝言を
登録・確認できます。

災害用伝言板(web171)

情報収集に

困ったこと 3
飲料水、食料、
粉ミルクの確保 最低3日分の備蓄が必要

困ったこと第3位は「飲料水、食料、粉ミルクの確保」でした。71.5%を占めます。生活用水とは別に、飲食のための水が必要ということがわかります。

阪神・淡路大震災では、神戸市全域での水道復旧に約3カ月かかり、飲料水は給水車や市販品に頼るしかありませんでした。

「自衛隊が水を運んできたのは3日目の昼頃」という経験談も残されており、それまでの期間を乗り切るために飲料水や食料は最低でも3日分の備蓄が必要です。

家族分の備蓄を

飲料水に関しては、1人当たり1日3ℓ、最低3日分として9ℓの備蓄が目安となっています。

これを家族の人数分備えておくことが重要です。さらに経済産業省では、避難生活が長期化することを想定して、1週間以上の備蓄を推奨する方針を2020年に出しました。飲料水も1週間分を備えるなら1人当たり21ℓが必要です。

食料の備蓄は、朝晩2食の1週間分と想定すると、1人14食分が必要です。家族3人の家庭なら1週間を乗り切るために42食分を備えておくことになります。
1人当たり1日 3ℓ 最低3日分 9ℓ

支援が届くまでの備え

被災地外から支援物資が届いたり、店頭に商品が並ぶのに時間がかかることは阪神・淡路大震災以降の震災でも大きな課題になっています。能登半島地震でも道路の寸断によって物資の運搬はスムーズ進みませんでした。

支援の手が届くまでの期間を過ごせるだけの備蓄は非常に重要で、具体的な備蓄方法を家族で話し合っておくことは大事な防災対策になります。